28.Q&A?

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 最初に書いておくけど、これは俺の個人的意見だからね。

 引き続き、「プレイヤーに経験点?」「経験点?」の追加テキストになります。

 前回の「経験点?」では、経験点自体について、DarkSide的な考察を展開しましたが、今回は「プレイヤーに経験点?」に寄せられた反響への個別Q&A(モドキ)です。


Q1.「どうして、プレイヤーに経験点を与えるのに反対なんですか?」
A1.
 TRPGが「楽しむ」為のゲームだからです。

 「プレイヤーが経験点を貰える」という事は、逆に考えれば、「プレイヤーは経験点を貰う為にプレイする」事になります。
 そうなると、「経験点を貰う」事が目的になる訳ですから、どんなにつまらなく、そして面白くないゲームであっても、「経験点を貰った」時点でプレイヤーは満足しなければなりません。
 でも、それは、「楽しむ」為のゲームじゃないからです。

 また、「何かをするかわりに何かを貰う」というのは、基本的にプロの行動だから、という理由もあります。

 プロのゲーマーは、「お金(あるいは仕事)を貰う為にゲームをプレイ」します。
 プロじゃないゲーマーは、「プレイしてゲームを楽しむ」訳です。

 プロじゃないゲーマーがゲームをする目的は、あくまで「ゲームをプレイする事」自体であるべきだと思うんですよ。

 例え、それは「経験点」という実体のないモノでも、「楽しむ」事以外を目的にゲームをプレイする、という行動自体を否定している為です。

Q2.「GMが経験点を貰えないのは、不公平じゃないですか?」
A2.
 全く不公平ではありません。
 マスターというのは、「世界全て」を表現する事を許されています。

 また、マスターというのは、キャラクターの生殺与奪の権利を完全に掌握しています。
 いわば、そのゲームにおける神に値する立場である訳で、「シナリオを作る事」「プレイ前の前準備が大変な事」「セッションハンドリングをこなさなければならない事」を差し引いても、GMの「できる事/して良い事」は大きな見返りになります。

 また、マスターをする事で経験点を得られると言うシステムには、致命的な欠陥が存在します。
 マスターは「キャラクターの生殺与奪の権利」を完全に掌握しており、自分のキャラクターを危険にあわせない/殺さない事が自由にできます。
 従って、マスターが経験点を貰えると言う事は、プレイヤーと違い、キャラクターにリスクを負わせる事なく経験点を入手する事ができます。
 プレイヤー参加する場合、「自分のキャラクターに危害が及ぶ/死ぬ可能性がある」のに対し、マスターが経験点を得られると言うのは、プレイヤーに不公平なのではないですか?

Q3.「持ち回り制のキャンペーンなどでは、経験値の差が大きくなるのですが?」
A3.
 基本的に、A2に書いたように、不公平ではないとは言えますが、確かに経験点が加速度的に増えていく方式のキャンペーンでは問題にはなり得ますね。
 (1回目にGMをした人と、5回目にGMをした人だと、5回目の方が”貰えない”経験点が多い場合など。何番目にマスターするかで喧嘩になりかねない)

 しかし、方法論として、次の2つのいずれかを導入する事で解決できます。

1.キャラクターがNPCとして冒険に参加した場合、経験点を与える。
 GMのキャラクターをNPCとして参加させる事で「冒険」しているという解釈ができますから、全キャラクターに与えられる経験値の平均と同じだけの経験点を与えても問題はないでしょう。
2.キャラクターが参加しなくても、「経験点」を与える。
 普通、キャンペーンなどで経験点が少ないキャラクターがいれば、レベルを合わせる為に経験点を補充する事もあります。
 その応用として、GMをしていた為に経験点が少ない場合、足りない分の経験点を補充しても問題ないでしょう。
 上のどちらの方法を採用するにしても、結局はGMが一番得をする事になりますが、持ち回りでGMをするのであれば、最終的に「全員が得をしている」=「結局は全員損も得もしていない」と言う事ですので、問題はないでしょう。

Q4.「キャンペーンでキャラクターが死んだ時、プレイヤー経験点でないと損をします」
A4.
 プレイヤー経験点でも損をしています。

 プレイヤー経験点にしろ、キャラクター固有の経験点にしろ、キャラクターを失った時点で失ったキャラクターにつぎ込まれた経験点は喪失します。
 特に、キャンペーンなどでは得た経験点は基本的に全てつぎ込んでいる訳ですから、失われた経験点の割合には大差がありません。

 結局は「持っている経験点の差」が大きすぎて、最終的にはルール外での「経験点の補充」が行われる事になるでしょうし、そうであればプレイヤー経験点でもキャラクター固有の経験点でも差は生じないでしょう。

 確かに「プレイヤー経験点」という方法論であれば、自力で補充する事は可能になるでしょうが、経験点を失っているという事実には差はありません。

Q5.「プレイヤー経験点でないと、”死を演出”する事で、経験点を失ってしまう事になります」
A5.
 ”死の演出”だけ無料なのですか?

 演出のゲームであると言う事は、なにがしかの方法で「演出」を許可されているゲームですよね。
 しかも、「プレイヤー経験点」があると言う事は、その経験点を使用する事で、演出を行う為のなにかを得る事ができるルールになっているはずです(例:トーキョーNOVAの「コネ」など)。

 そうであれば、「死を演出」する為に必要な経験点コストを、本来得られるべきであった経験点によって支払っている事になると思うのですが?

 また、プレイヤーが望まなかった「死」による経験点のロストに関しては、ただ単に状況をコントロールできなかった事への代償だと考える事ができるでしょう。
 状況のコントロール(もしくは把握)は演出の基本的条件ですから、それをなしえなかった者に対しては経験点を与える意味がないでしょう。

Q6.「プレイヤー/GMを評価する事は悪い事ではないと思いますが?」
A6.
 ルールとして評価する事自体が間違っています。

 少なくとも、仕事以外で人間を評価する事は一定の基準を基本に行うものではありません。

 「皆のジュースを買ってくれば+1」という基準があるとして、極度に貧乏でそれが”できない”プレイヤーは、プレイヤーとして駄目なのですか?
 「自宅をゲームの場として提供すれば+1」という基準があるとして、自宅に老人と共に住んでおり、呼ぶ事が”できない”マスターは、マスターとして駄目なのですか?
 あるいは、「目立てば+1」という基準があるとして、他人をたてるようなプレイプレイとして間違っているのですか?

 キャラクターは架空の個性ですから、「評価」を受けても、それを知る事はありませんし、知ったとしても問題にはならないでしょう。
 しかし、プレイヤーもマスターも現実の人間です。
 皆のためのジュースを買いたくても、それができないプレイヤーが、他のプレイヤーがジュースを用意した事による追加経験点を得たとして、それを見ていて気分がいいですか?

 ルール自体が人間関係を破壊しかねない危険なものであっても、良いものでしょうか?

Q7.「プレイによって経験点に差が出るのは良いシステムだと思うのですが?」
A7.
 全然良くないです。

 プレイによって経験点に差が出ると言う事は、セッションが終わった時点で、「経験点が多い」者と「経験点が少ない」者に分かれます。
 すなわち、経験点という分野における勝者と敗者が存在してしまう、という事です。

 TRPGは「競い合う」ものではありません。
 しかもタチの悪い事に、「経験点」はキャラクターを成長させるのに使用する物ですから、勝者ほどキャラクターが成長する法則が成り立ちます。

 経験点の算出方法がどうであれ、いつかはセッションが経験点レースに変化してしまう事でしょう。
 特に、敗者は「足りない分の経験点」を補充しようと躍起になるでしょうし、勝者は「よりキャラクターを成長させる為」に激しいデッドヒートが展開される事になります。

Q8.「単発プレイでも使える”経験点”って、便利じゃないですか?」
A8.
 一番持っている人には便利かも知れませんね。

 単発プレイで使える”経験点”というと聞こえはいいのですが、それは基本的に持っている人だけ使える経験点ですよね。
 そうなると、最初から持っていない人とプレイする場合、持っている人は「経験点による成長」が許可され、持っていない人には許可されないと言う結果となります。
(持っていない人にも許可されるのであれば、経験点の使い損になりますから)

 そうなると、ゲームのスタート地点から「キャラクターに格差」が生じる訳です。
 経験点を持っている人から見れば、他のプレイヤーよりも「いいキャラクター」を使っている訳ですから、気分がいいでしょう。
 しかし、持っていないプレイヤーから見ると、そのプレイヤーはゲームに慣れている上に、いいキャラクターを持っているという訳です。

 あまり、気分の良い物ではありませんね。

 また、このタイプのシステムですと、大体は「経験点による成長」の中に、演出方法の拡大という要素が加わっています。
 そうすると、経験点を持っている程、何でもできるという事に直結しますよね。

 それでなくとも、初心者は「ゲームになれていない」というハンディキャップを負っているにも関わらず、経験点を持っているプレイヤーは、「ゲームに慣れている」「キャラクターが成長している」「表現/演出の自由度が高い」というアドバンテージを数多く手に入れる事ができますから、自由に楽しむ事が出来ます

 反面、経験点を持っていない初心者は、隣のプレイヤーが自由に楽しんでいる反面、窮屈な思いをする事になりかねません。

 それでなくても、昨今のゲームは「経験者」と「非経験者」での格差が大きいのですから、スタート地点でそれ以上の差をつけるのはどうかと思いますね。

Q9.「そんなの全部、モラルさえあれば大丈夫じゃないですか?」
A9.
 必要以上にプレイヤーやマスターにモラルを求めるルールは、ルールとして不完全です。
 TRPGのルールは、多少特殊な成り立ちがあります。
 TRPGのルールは「絶対」ではなく、基本的にはゲームをする上での指針に過ぎない、という一面があるのです。
 それは、TRPGのルールは物理法則をプレイアビリティを損なわないレベルで再現したものである為です。
 ですから、矛盾のあるルールなどが数多くありますし、それに対しては常識で処理という事が基本となります。

 従って、TRPGにおけるルールは基本的に指針に過ぎない物となってしまうわけです。

 そして、「モラル」というのは一つの「指針」なんですね。
 「指針を表す」為のルールに「モラルという指針」を要する、という事になると、これは指針にもなっていないという事になりませんか?

 指針を決めるための指針として、モラルを要する。

 言い方を変えると、ルールの為のルール(モラル)を要している訳で、個々人や仲間内で楽しむ分にはいいかも知れませんが、少なくとも胸を張って市販できる物ではないという結論になりますよね?

この記事を書いた人 Wrote this article

如月翔也

 如月翔也です。TPGとアナログゲーム、PCが大好きな中年男です。このブログでTPGについて色々触れています。コメントを貰うと非常に喜ぶのでお気軽にコメントをお願いします。