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023:死

TRPGコラム》 2009/11/15 21:54

 TRPGだけに関わらず、世界は「生」と、同じだけの数の「死」に囲まれています。

 理想の幻想世界に住む、キャラクター達であっても、その死という名の運命からは決して逃れる事はできません。

 TRPGの変遷に従い、「キャラクターの死」も様々な形に変遷しています。

 キャラクターの死は、「プレイヤーの損失」から「世界の構成要素の消失」を経て、「一人の人間の人生の終わり」へと移り変わっていったのです。

 ここで一つ、私が「キャラクターの死」について考えさせられたエピソードを紹介します。
 「ストーリー重視」のTRPGをプレイしている最中、シナリオの最終場面の事です。


 シナリオの最終場面、最後の敵は強力でした。
 パーティ全員が協力し、死力を尽くして最後の敵を傷つけ、追い詰めました。
 しかし、その時パーティの面々も満身創痍で、最後の敵が次に放つ攻撃で、パーティの全滅もありえる状況でした。

 そして、その時一人のプレイヤーが「ここが見せ場だな」とつぶやき、一つの決断を下しました。
 その「ストーリー重視」のTRPGには、最後の手段として「自分の死と引きかえに放つ、強力な必殺技」という攻撃オプションがあったのです。

 そのキャラクターは、我が身の危険を顧みずに最終手段を使い、見事に最後の敵を討ち取ったのです。
 ……そして、そのキャラクターは死にました。

 ストーリーとして、実に美しい展開です。
 TRPGで求められる、いわゆる「王道」とさえ言えるかも知れません。

 しかし、一つだけ問題がありました。
 死んだキャラクターには、「何者かに拐われた妹を見つけ出す」という大きな目標があり、今回のシナリオでは、その妹は出てこなかったのです。
 つまり、そのキャラクターは「妹を見つけ出す」という大きな目標を捨ててまで、「最後の敵を倒す」事を選んだのです。


 さて、このシナリオで命を落としたPCは、自らが望んで死んだのでしょうか?
 それとも、プレイヤーのエゴによって、望まない死を押し付けられたのでしょうか?

 私には、後者にしか思えないのです。
 無論、現実の人間がそうであるように、PCも望まない死を与えられる事の方が圧倒的に多いでしょう。
 しかし、プレイヤーには、キャラクターをあらゆる意味で生きさせる義務があるのではないか、と思うのです。

 キャラクターが真の意味で生きるための「死」であれば、むしろ積極的に死ぬべきかも知れません。
 しかし、キャラクターに「死」を与える前に、そのキャラクターが何故死を選ぶかを考えて欲しいのです。

 美しいストーリーの為ではなく、プレイヤーの満足の為ではなく、キャラクター自身が納得して死を選んだか。
 それこそが、TRPGで求められるべき「死」のリアリティではないかと思うのです。

 冒険者とは、頼るべきもののないアウトローです。
 そして、そのアウトローが持つ唯一にして最強のカードが自分自身の命なのです。

 その命、その死について、貴方ではなくキャラクター自身が考えて決断する事。それこそが、アウトローの誇りなのではないでしょうか。


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