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025:「交渉技能」の存在

TRPGコラム》 2009/11/15 21:55

 今度は、ゲームシステムとロールプレイについて考えてみましょう。

 ゲームシステムによっては、キャラクターに「交渉」という能力や技能が用意されている事があります。

 しかし、この能力(あるいは技能)、ロールプレイ重視でTRPGをしている時は、結構邪魔な物である事が多いんですね。

 ちょっと一例をあげてみましょう。


 悪人が女の子の人質を取って、民家に立てこもっています。
 そこで、騎士のキャラクターが「自分が人質になる代わりに、人質の女の子を開放して欲しい」という説得を行おうとしました。
 騎士のキャラクターが民家の前に歩み出て、こう言ったとします。

「 君、か弱い女子を人質に取るとは、恥ずかしいと思わないのかね。それよりも、代わりに私が人質になろう。
 こう見えても私は騎士の出身。身代金は私の方が多く取れるだろう。
 当然、私は武器も持たないし、この鎧も脱ごう。必要なら後ろ手を縛った状態でそっちに行っても良い。
 だから、その人質と私を交換したまえ。」

 ゲームマスターも、他のプレイヤーも、この台詞は非常に良いものであると考え、ゲームマスターは騎士の交渉技能に高いボーナスを与え、ルールに則って成功判定をさせました。

 しかし、騎士のプレイヤーは非常にダイス目が悪く、なんと判定に失敗してしまいます。

 ルールに則るとこの交渉は失敗でしたが、プレイヤー達は収まりがつかず、マスターを糾弾します。
 マスターもこの交渉は成功するはずだと考え、「ルールを無視する」決心をし、騎士の交渉を成功と判断しました。


 一例ではありますが、いかにもありそうな状況だとは思いませんでしょうか?
 一般的には「ゲームを面白く、エキサイティングにする為には多少のルール無視・変更は許される」という意見が有力ですから、このマスターの判断は誤っているとは言えないでしょう。

 しかし、「キャラクターを表すルール」であるはずの第3世代TRPGに、何故、このような「ルールプレイによっては無意味になるルール」があるのでしょうか?
 逆に、ルールに従った上で、全員が納得できるルールの適用方法、というのは無いのでしょうか?

 そこで、色々と考えてみましたが、このように考えてみてはいかがでしょうか。

 騎士は、確かにプレイヤーが宣言した事と同じ事を考え、いざ言おうとしました。
 しかし、緊張のあまり騎士の声は小さく、悪人には届きませんでした。悪人からはただ騎士が近づいてきただけに見え、警戒心を抱かせてしまったのです。
 あるいは、その台詞を言おうと一歩を踏み出した瞬間、それが悪人を刺激してしまい、聞く耳を持たせなくしてしまったのです。
 もしくは、最初の「恥ずかしくないのかね」という台詞を、彼が高潔な騎士であるが故に侮蔑的に言い放ってしまい、悪人を逆上させてしまったのです。

 交渉というのは、台詞の応酬を含めて成り立つ事ですから、「交渉に失敗した」という事は、どれだけ見事なプランニングがなされていても、そのプランニングが通用しない結果となった事を表すはずです。
 ということは、上記のように考えれば、交渉の失敗は頷けるのではないでしょうか?

 今やTRPGのルールは「キャラクターを表現する物」へと変化しました。
 その中に「交渉」という要素がある以上、「交渉」もキャラクターを表現するもののはずです。
 つまり、どれだけ素晴らしい台詞を考えついたとしても、それを上手く活用できないのが「交渉能力が低いキャラクター」であるという事ですし、交渉が得意な人間でも予想外の展開になってしまう事がある、というのが交渉のルールという事ではないでしょうか?

 それを考えると、おいそれと「交渉能力に力を割り振らないキャラクター」というものは尽作れなくなってしまいますね。

 しかし、「交渉能力」とは、こう考えてみるのが妥当かも知れません……


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