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037:自由と束縛

TRPGコラム》 2009/11/15 23:34

 このTRPG GigaFreaks!では、「TRPGはリアルなのが面白い」という前提で色々な記事を書いています。
 そこで、今回は「リアルな表現」について考えてみようと思います。

 「リアルな表現」のためのアプローチは無数にありますが、その中に「世界のリアルさ」というアプローチがあります。
 今回は、その「世界のリアルさ」のアプローチから、1つの「世界のリアルさ」のアプローチを考えてみようと思います。

 私たちが生きる現実世界においても、小説や映画・ゲーム等で提供される幻想世界においても、それを実にリアルにしている要素として「1人のキャラクターが、全てを思うようにはできない」という事が挙げられます。
 これは、現実世界では当然の事ですし、幻想世界においても物語的な観点(良い物語には「障害」と「克服」を内包する。この場合「思うようにできない」という事は「障害」にあたる)から、「キャラクターの思う通りにはならない」世界であるのが普通です。
 また、ゲーム性という観点から見ても、「思う通りにできない」という制限があるからこそ、それに挑むというミッションが成り立つため、これは「現実」「物語」「ゲーム」の3つの観点からも重要な要素であると言えるのではないかと思います。

 さて、ここで一つのTRPGの「謳い文句」があります。
 「TRPGとは、幻想世界の中で、キャラクターが自由に行動できるゲームです」というものです。

 これは、全くの真実です。
 PCは「羽もないのに自分の身体的能力だけで空を飛ぼうとする」事ができます。
 (明らかに失敗しますが)
 あるいは、「善良な商人を殺して金銭を奪い取る」事ができます。
 (大抵はキャラクターは犯罪者として追われる身となりますが)

 これは、実は現実世界でも一緒なんですね。
 現実世界でも、本当は「自由に行動する」事はできます。
 ですが、現実世界では「自由に行動する」という事は、すなわち「自分で責任を取る」という事でもありますから、「自分で責任を取りきれない行動を控える」人が殆どである、というだけなんですね。

 話がズレてしまいました。
 さて、謳い文句の通り、TRPGは「自由に行動できるゲーム」です。
 しかし、「物語」である以上、「ゲーム」である以上、「リアル」である以上、明らかにすべきではない行動というものがあるのです。

 そのTRPGで取り上げている背景世界が、「世界」として機能している以上、なんらかの禁忌と処罰があるはずです。
 そうでなければ、その世界は暴力の支配する無法地帯であるはずですから。
 犯罪を犯せばそれなりの刑罰が待っていますし、自己中心であれば周囲に敬遠される、そんな世界が普通の世界であるという事なんですね。

 この、「自由に行動できるが、すべきではない行動」というものの存在は、TRPGに厚みを持たせてくれます。
 モラルや刑法、マナーという物は、1つの「制限」としてキャラクターを縛るものではあるのですが、それに拘ったり、あえてそれを無視する事で、1人のキャラクターに人格的な厚みを持たせてくれると同時に、世界に厳格なリアリティを持たせてくれるのです。

 「キャラクターを自由に表現する」事というのは、キャラクターに好き勝手に行動させる事ではありません。
 むしろ、「好き勝手な行動をする」キャラクターというのは、リアリティの薄い「漠然とした」キャラクターであるという事なんですね。

 貴方も、TRPGを「自由」に楽しむ、という事について、ちょっと考えてみませんか?

 きっと、「束縛」と「自由」の関係について、面白い考察ができると思いますよ。


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