067:ネタを取る

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 TRPGは想像力と創造力のゲームです。

 GMは自分の想像力と創造力を駆使して、それこそ無限にも近いバリエーションを持ったシナリオを作成する事が出来ますし、そのセッションに参加したプレイヤー達によって、更に無限に近いバリエーションを持ったセッションを行う事ができます。

 初期投資はやや高めにつきますが、それから無限に楽しみが広がる訳ですから、TRPGというのは「1回のセッション」についてのコストパフォーマンスは最高の遊びなんですね。

 TRPGにはGMという存在が必要不可欠です。GMはシナリオを作り、セッションを進行するという重要な役目を背負っているからです。

 セッションの進行に関しては、それほど気負う必要のない物ですし、経験によって自然と身に付く類の物ですから、あまり心配はいりませんし、何度もセッションを行う内に負担であるとは思わなくなるはずです。

 しかし、GMにはもう一つ、大事な役割があります。それは、シナリオを作る事です。

 これは、セッションの進行とは違い、「いつも違う物を求められる」事や、「セッション前にしておかねばならない」という類の物ですから、初心者GMでもベテランGMでも、ここで詰まってしまう事は少なくないはずです。

 そこで今回は、シナリオを作る時のテクニックとして、「ネタを取る」という事について、考えてみようと思います。

 まずは「ネタを取る」という事に関してですが、これは簡単な事です。

 自分の知っている「何か」から、シナリオの一部分となる部分を「パクる」事を差します。

 例えば、映画に出てくる格好良いキャラクターを名前だけ変えてNPCとして登場させたり、なぞなぞブックからちょっとした謎かけを流用したり、好きな小説の話の流れを流用したりする事を、「ネタを取る」と言います。

 この「ネタを取る」事により、シナリオの最初の部分(何をする/させるシナリオなのか)を確定する事ができますからシナリオ作りがグッと楽になるんですね。

 ですから、シナリオのネタに困った時や、いつもと違うシナリオをしてみたい時などには「ネタを取る」という事は効果的な方法なのです。

 しかし、実際に「ネタを取った」場合、セッション時に困った事になる事があります。

 プレイヤーが「元ネタ」を知っていて、それに気づいた場合、気づいたプレイヤーはシナリオの先読みをするようになってしまいますし、そこで「知らないプレイヤー」と「知っているプレイヤー」に格差が生まれてしまいます。

 また、大きなどんでん返しを用意していて、それに気づかれてしまった場合、セッション自体が白けてしまいます。

 さらに問題なのは、元ネタの「解釈」がGMとプレイヤー間で異なっていた時、セッションがガタガタになってしまう可能性もあるのです。

 ですから、「ネタを取る」というのは、シナリオ作成を楽にできる反面、セッションを崩壊させてしまう危険性を秘めた方法だと言えます。

 そこで、「ネタを取る」際に、いくつか気をつける事が必要となります。

 1つ目は、「取ったネタ」をそのままで出さない、という事です。

 若干でもいいですから、元ネタとは明らかに違う物を追加して、その追加された物に合う様に手を加えて下さい。これで、元ネタがばれた時でも展開に支障をきたす事は少なくなるはずです。

 2つ目は、なるべく違うジャンルの物からネタを取るという事です。

 例えばSF小説からネタを取って、それをファンタジーTRPGのシナリオに流用する、などです。こうする事で、元ネタがばれづらくなります。

 3つ目は、「ネタ取り」はあくまでシナリオのとっかかりを作るだけに留めるという事です。

 NPCならNPCだけ、ストーリーボードであればそれだけを流用し、後は自分で作り上げていく事が大事です。こうしないと、明らかに「自分らしくない」シナリオになってしまい、違和感が生まれてしまうんですね。

 この3点に注意してシナリオの「ネタを取る」と、実に簡単に「自分らしいシナリオ」ができあがるはずです。

 GMというのは技術でもありますが、一種の芸術でもあり、「らしさ」という物も求められる部分が大きいですから、そこに注意してシナリオを作ると、いいシナリオになると思います。

 さて、今回はGM限定の話題でしたが、実は、これを応用するとPCの個性づくりにも使える方法なんですね。

 他人の作った「ネタ」と自分らしさの融合、というのも、一つのTRPGの遊び方なのではないでしょうか。

 たまには「ネタを取る」事にチャレンジしてみるのも、TRPGに飽きない一つのコツになるかも知れませんよ……?

この記事を書いた人 Wrote this article

如月翔也

 如月翔也です。TPGとアナログゲーム、PCが大好きな中年男です。このブログでTPGについて色々触れています。コメントを貰うと非常に喜ぶのでお気軽にコメントをお願いします。


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