さて、TRPGと言えば、「コミュニケーションを使って楽しむ知的遊戯」です。
知的遊戯といえば、当然のように「頭を使って遊ぶ」物なのですが、その「頭を使って遊ぶ」という意味が、TRPGでは2種類ある事はご存じでしょうか?
今回は、その「2種類の頭の使い方」について、ちょっと考えてみましょう!
TRPGというのは一種のゲームですから、当然のように様々な駆け引きや、どんな行動が有利であるのかを考えたりしますよね。
これは、他の様々な種類の知的遊戯と同じく、「知性」を使っての遊び方になります。
また、TRPGではキャラクターの人生を追体験する事で様々な感情・感覚を引き起こし、その感情や感覚そのものを楽しみます。
これは、むしろ映画や小説などを楽しむ時の、「感性」を使って楽しんでいる、という事になりますよね。
このように、TRPGでは知性を使ったゲームとしての楽しみ方と、感性を用いた物語の楽しみ方の両方を共に楽しめるという事で、非常にお得な趣味であるとも言えます。
ですが、この「知性」と「感性」の両立というのは意外にも難しく、プレイヤーやマスターによってはそのどちらかに寄ってしまう事も少なくありません。
確かに「知性」を満足させる「ゲーム」という概念、あるいは「感性」を満足させる「物語」という概念だけでも十分に素晴らしい物なのですが、残念ながらことTRPGにおいては「感性、知性のいずれかのみを重視する」事は、もっとも大きな問題になってしまうのです。
それは、ある意味でTRPGが最終的な調和を求めるモノである為です。
TRPGではゲームマスター、プレイヤーという立場の差こそあれ、それぞれの立場の人間は最終的に「物語の完成/ゲームの遂行」を求めるという意味で同じ物を目指す人々です。
ですから、「知性」ばかりに重きをおいてキャラクターの行動に一貫性がないと、最終的にそのキャラクターの次の行動が見えず、場が混乱してしまいます。
また、「感性」ばかりに重きを置き、システム的・シナリオ的な有利さを一切考えないと、皆が求める「最大公約数」に近い結末を迎える事が難しくなってしまい、最終的に皆に不満の残るセッションとなってしまうのです。
ですから、TRPGにおいては「知性」と「感性」の両方を十分に活用しないと、完全な満足を得る事は難しいんですね。
「知性」と「感性」、両方を十分に満足させるというのは一見非常に欲張りな事に見えるかも知れませんが、実はこれがTRPGをもっとも楽しむ方法なんですね。
せっかく皆で集まって一つのゲームをするんですから、やはりどこまでもどん欲に楽しんで行きたいものですね。
しかも、それが「もっとも楽しい方法」なのですから、一挙両得と言えるのではないでしょうか……?