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030:中世の「旅」

TRPGコラム》 2009/11/15 21:58

 さて、中世と比べ、現代は「情報社会」であるとともに、「交通社会」でもあります。
 人々はちょっとした暇を見つけては小旅行をしたり、連休を利用して大掛かりな旅行をしたり、あるいは車を使って「ちょっと遠出」という、様々な「旅」を楽しんでいます。
 現代では、「旅」あるいは「旅行」は趣味の一つであったり、あるいは心と体のリフレッシュ手段の一つであったりします。

 しかし、現代と中世では事情も異なります。
 そこで、今回は中世における「旅」について、ちょっとした豆知識などを挙げてみようかと思います。

 以前のコラムで取り上げましたが、中世の人々というのは、成人人口のおよそ9割までもが第一次・第二次生産者でした。
 そして、生産者というのは地域に密着した存在であり、通常では自分の住む地域を離れる事など考える事もできない事でした。
 ですから、中世ではほとんどの人々は「旅」というものをしませんでした。
 「旅」をするのは、商人のような交易関係の人間か、吟遊詩人や旅芸人、あるいは巡礼者のような「余程の事情のある者」だけでした。

 しかも、地方をつなぐ街道はほとんど整備などされていませんでしたし、街や村を一歩離れると、そこは無法地帯・危険地帯に他なりませんでした。
 つまり、現代とは違って、中世での「旅」は、言葉通り「命懸け」のものだったのです。

 しかし、逆に「旅」が一般的ではなく、危険だからこそ、積極的にそれに挑む者もいました。
 それは、「交易商人」です。

 情報や物品の交流が少ない中世では、「数の少ない物は高く売れる」「数の多い物は安く買える」という傾向が非常に強くありました。
 交易商人は、その傾向に着目し、「ある地方で安く買った物を、違う地方で高く売る」という、実に商魂逞しい人々でした。
 しかし、「旅」をするという事は「様々な危険と遭遇する」可能性が非常に高く、どちらかというと山師のような存在だったという事です。

 これらを考えると、中世では「旅」の感覚が、現代とはかなり異なっているという事が良く分かると思います。
 この感覚は、幻想世界に住むPC達も、さほど変わらないのでしょうか。

 未熟な冒険者のパーティが初めての旅を前に必要以上に緊張したり、始めてみる異国の風景に心を奪われたり、というシーンはとてもリアリティがありますし、そんなちょっとした部分を演技するのも楽しいかも知れませんね。


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