今回は、「幻想世界」でのリアリティを題材にしてみましょう。
「一般的なファンタジー」と呼ばれる世界での、冒険者の立場について、ちょっと考えてみましょう。
「一般的なファンタジー世界」とは、大体において「中世ヨーロッパの格好良い部分だけ複合した世界」と考えて差し支えありません。
逆に、「格好良い部分」でない部分については、ある程度史実に従うべきでしょう。
そう考えると、ファンタジー世界の住人のほぼ9割以上が第一次生産者、及び第二次生産者です。
つまり、食料や材木などを「作る」人々と、そこから加工して物を「作り出す」人々です。
「冒険者」というのは、明らかに「生産的」な仕事ではありませんから、生産者ではない1割に組み入れられます。
つまり、「冒険者」とは、商人や貴族のように、数の少ない存在だという事です。
では、冒険者は中世社会の階級制度のどこに組み入れられるのでしょうか……?
冒険者は貴族のような支配者階級ではありませんし、商人のような仲介者としての存在でもありません。
あえて「どの階級にあてはまるのか」という事を考えると、他人のトラブルを金に換えて生活している、という職業上の特性から考えると、冒険者とはアウトローに組み入れられる人々だと考える事ができます。
アウトローとは誰にも守られる事が無く、自分の力だけを頼りにする者です。
支配者の法の外におり、完全な自由と引き替えに、何物をも保証されないという、孤高の存在です。
そう考えると、冒険者はまさに究極のアウトローなんですね。
しかし、アウトローであるという事から、良識ある人からは煙たがられるでしょうし、良識ある人は余程の事がない限りは冒険者に頼ろうとも思わないでしょう。
ですが、だからこそ、大きな困難が発生した時には冒険者が頼られる事となり、冒険者はいつも困難な依頼を受ける事になるのです。
孤高のアウトローにして、人々の最後の希望、それが冒険者だと考えると、今までとは違った雰囲気でのプレイが楽しめるのではないでしょうか。