TRPGのシステムを大雑把に分けると、2つの種類に分ける事ができます。
いわゆる、「クラス制システム」と、「スキル制システム」の2種類です。
「クラス制システム」というのは、その名の通り、キャラクターを何らかの階級(クラス)に分け、その階級によって「できる事」「できない事」を分けるシステムです。
キャラクターの特徴は「能力値」と「クラス」という2つの要素に限定され、普通、「実は鍵開けもできる戦士」とか、「隠し芸程度に魔法を使う盗賊」というキャラクターは作れないのが一般的です。
それに対し、「スキル制システム」というのは、技能(スキル)によってキャラクター全体を表現するシステムです。
例えば、「戦士だから剣を使うのが得意」なのではなく、「<剣>技能が高いから剣を使うのが得意」という、1つ1つの物事に対して技能を用意し、その技能によって得意/不得意/不可能を表現するシステムを指します。
このシステムだと、技能を持っていれば行動ができる訳ですから、「戦いが得意で、鍵開けもできるキャラクター」や「鍵開け、罠の解除をそつなくこなし、魔法もちょっとだけ使えるキャラクター」などを作る事ができます。
では、この「色々できるシステム」である「スキル制システム」について、ちょっと考えてみましょう。
「スキル制システム」では、「スキル」という、キャラクターの「できる事」を組み合わせる事でキャラクターをリアルに肉付けしていきます。
しかし、そのようなシステムでキャラクターを作ると、つい戦闘に有利なスキルばかり選んでしまう事があります。
ですが、「戦闘に有利なスキルばかり持っているキャラクター」というのは、実にリアリティのない存在ですよね。
どんなキャラクターにだって子供の頃に色々やった事、冒険者になる前の経歴など、相応の過去があるはずです。
しかし、その過去の行動と経験結果身についているはずの「スキル」に、過去が反映されていないというのは、どうもリアリティがないとは思いませんか?
そう、「スキル制システム」のキャラクターは、その過去に基づく、一見無駄なスキルという物が必ずあるはずなのです。
例えば、一人暮らしの長かったキャラクターは「料理」のスキルがそれなりにはあるはずですし、両親が富裕層だったキャラクターであれば、それなりの「礼儀」「作法」のスキルを持っているはずですよね?
このような「一見無駄なスキル」があると、冒険の間のちょっとしたシーンにキャラクターを絡ませる事ができますから、より深くキャラクターを表現する事ができます。
例えば、料理スキルの低い魔法使いがナイフで指を切ってしまった時、無口な戦士系キャラクターが「魔法を使うには指は大事だからな。」等と言ってナイフを取り上げ、代わりにおいしい料理をつくる、なんていうシーンはキャラクターにちょっとしたアクセントをつけてくれるのではないでしょうか?
こういったちょっとしたアクセントは、キャラクターをリアルにすると同時に、きっと個性を際だたせてくれますよ。
貴方も、キャラクターに無駄なスキルを取らせてみませんか?
きっと、通常シーンを「演じる」事が、更に面白くなると思いますよ。