さて、前回のコラムで取り上げた「スキル制システム」ですが、これは様々な技能を組み合わせてキャラクターを作るシステムです。
多少の制限はあるものの、数多く用意された技能から好きな技能を好きに組み合わせ、「自分好み」のキャラクターを作り上げる事ができますから、「スキル制システム」で作られるキャラクターはまさに「千差万別」「十人十色」と言っても良いのではないでしょうか。
しかし、実際のところ、実用的な面だけで考えると、「スキル制システム」で作られるキャラクターは、2つの種類に分ける事ができてしまいます。
それは、大雑把に分けると「専門職型キャラクター」と「万能系キャラクター」の2種類です。
例えば、<剣><盾><回避>などの肉弾戦闘系スキルを重点的に伸ばした戦士タイプ、<魔法><〜知識><鑑定>などのスキルを重点的に伸ばした魔術師タイプ、あるいは<鍵明け><忍び足><交渉>スキルを重点的に伸ばした盗賊タイプのキャラクターなど、ある意味「クラス制システム」のキャラクターに近いキャラクターを「専門職型キャラクター」と命名しましょう。
「専門職型キャラクター」は、専門とする分野に関しては実に信頼が置けますが、それ以外に関してはからきし役に立たないというネックもあります。
もう一つは、<剣>もそこそこ使え、<魔法>もいくつか覚え、<鍵明け><罠解除>もたしなみ程度に、という技能のデパート的なキャラクターを「万能系キャラクター」と命名しましょう。
「万能系キャラクター」は、どんな場面でも行動で切るという利点がありますが、逆に何をさせても中途半端であり、「専門職型キャラクター」のサポートに回らざるを得ない事も多々あるでしょう。
さて、この2つのキャラクターの種類を見ると、「専門職型」はクラス制システムのキャラクターに近いため、どうせならば「万能系」のキャラクターを作る方が面白いように思えるかも知れません。
しかし、その考えに関しては、「間違ってはいないが正解でもない」というのが答えだと思います。
それは、「スキル制システム」では、パーティの人数によって「専門職型」と「万能系」のキャラクターのどちらが求められるかが異なってくるからです。
パーティに参加するメンバーの人数が少ない場合、「必要な技能」をパーティ全体で揃えるために、どうしても「万能型」のキャラクターが必要となります。
しかし、パーティに参加すメンバーが多い場合、「万能系」を複数揃えてもパーティの強化にはつながらず、むしろ見せ場の取り合いになるだけという事情もあり、この場合には「専門職型」のキャラクターが必要となるのです。
パーティの人数が適正であれば、各分野について「専門職型」のキャラクターを中心に、「万能系」のキャラクターを数名加えるのが得策でしょう。
「専門職型」のキャラクターにも失敗は有り得ますし、その際に「万能系」のキャラクターが同じ行動にチャレンジできる事は冒険者に取ってはとても魅力的なメリットでしょう。
まあ、「専門職型」は自分の専門分野で実力を余すところ無く発揮できますし、「万能系」はどんな場面でもそこそこに活躍できますので、全員が等しく楽しめるはずです。
ここではプレイヤーサイドのメリットを主に考えて来ましたが、この「キャラクターの作り方」は決してリアリティを損なうものではありません。
通常、パーティを組むにあたっては互いの長所を引き出し、欠点を補い合うのが一番重要な事だからです。
人数の少ないパーティでは互いをかばい合う事は難しいため、全員がそれなりに何にでも対処できる必要があります。
逆に、人数が多いパーティであればお互いをかばい合う必要がありますから、「俺は魔法を使うから、その間敵から守ってくれ!」という事ができますし、秀でた能力を持った仲間がパーティにいる事は大きな利点となります。
こう考えると、スキル制システムのキャラクター達はクラス制システムのキャラクターと比べると、色々と考えてパーティを組んでいるという事になりますが、誰だって死にたいとは思っていないでしょうから、当然と言えば当然かも知れません。
さて、このように「色々考える」事が必要なスキル制TRPGシステムですが、貴方はどのように考えてキャラクターを作っているのでしょうか?
「色々できる」システムだからこそ、他のキャラクターとの相互関係を考える事も楽しいのではないでしょうか。