TRPGでよく聞かれる悪口(評論?)に「一本道シナリオ」という物があります。
この「一本道シナリオ」とは何なのでしょうか?何故、悪いのでしょうか?それを回避するにはどうすればいいのでしょうか?
今回は、いつものコラムと趣向を変えて、「一本道シナリオ」を考えてみましょう。
さて、この「一本道シナリオ」ですが、その名の通り、シナリオ内に分岐のない、話の流れが一本道のシナリオを指します。
依頼を引き受けた所からシナリオが始まり、キャラクターの行動に関係なくイベントが進み、やはりキャラクターの行動に関係なく話が完結してしまう様なシナリオは、悪意を持って「一本道シナリオ」と呼ばれる事が多いようです。
「一本道シナリオ」はストーリーテリングを行う為には良い技法なのですが、この場合、マスターが自分の作ったストーリーに陶酔してしまう事が多い事や、ストーリーを優先させるあまりプレイヤーに「ゲーム性がない」と思わせてしまう事、あるいはプレイヤーの判断や葛藤が意味をなさなかったり、そもそも判断や葛藤というTRPGの醍醐味の部分がなくなってしまう為、「ストーリーが面白くない」・「ゲーム性がない」・「判断・葛藤がない」という、プレイヤー不在のセッションとなってしまう為、良くないと判断される事が多いのです。
これは、逆に言えば「他人から見ても良いストーリーである」「ゲーム性を重視しつつ、ストーリー性を損なわない」「判断・葛藤があり、それが意味をなす」というポイントさえ守れれば、一本道シナリオでも全く問題がない、という事にもなります。
では、「一本道シナリオ」の悪い点を回避し、良い「一本道シナリオ」にする為にはどんな事に注意すればいいかを考えてみましょう。
第一に、ストーリーはあくまで「わかりやすく」する事です。
どんでん返しは1回か2回が限界でしょうし、後で効いてくる「伏線」等は簡単な物を少しだけ仕込む程度にした方が良いでしょう。
どんなに完全なストーリーでも、理解されなければ面白くないのです。
第二に、ゲーム性という点では「判定」に成功した場合と失敗した場合の展開を別に用意する事です。
別の展開でも、最終的に一つの方向に向かって行く、という形でシナリオを組めば、ストーリーを壊す事なくゲーム性を保つ事ができます。
第三に、「判断・葛藤」に関しては、キャラクターにどんどんと情報を与え、判断と決断を行わせる事です。
この場合、「選んで欲しい選択肢」がある場合(大抵はそうでしょう)、「選んで欲しい選択肢」の方が有利であると判断できる情報を多く与える事で、心理的に誘導する事ができます。
また、この方法に第二の「収束法」を使うとより有効でしょう。
そして、最後に一番重要な部分です。
それは、「シナリオを作りすぎない事」です。
一本道シナリオというのは、ある程度の方向性と、その為の指針をしっかりと作ってさえしまえば、それ以上は作る必要がないのです。
作ってしまえばこだわってしまうのがマスターの心情ですから、どうしても「押し」「引き」を多用してしまい、結果としてプレイヤーの自由度を低くしてしまう事になってしまうのです。
一本道シナリオでもそう思われないだけの自由度があり、プレイヤーにもバレない一本道シナリオ。
そんな、魔法のような一本道シナリオを、貴方も作ってみませんか?
色々なテクニックを使いますが、このテクニックは色々なところで役に立ちますし、こんなタイプのシナリオも面白い物ですよ。