048:一本道シナリオ

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 TRPGでよく聞かれる悪口(評論?)に「一本道シナリオ」という物があります。

 この「一本道シナリオ」とは何なのでしょうか?何故、悪いのでしょうか?それを回避するにはどうすればいいのでしょうか?

 今回は、いつものコラムと趣向を変えて、「一本道シナリオ」を考えてみましょう。

 さて、この「一本道シナリオ」ですが、その名の通り、シナリオ内に分岐のない、話の流れが一本道のシナリオを指します。

 依頼を引き受けた所からシナリオが始まり、キャラクターの行動に関係なくイベントが進み、やはりキャラクターの行動に関係なく話が完結してしまう様なシナリオは、悪意を持って「一本道シナリオ」と呼ばれる事が多いようです。

 「一本道シナリオ」はストーリーテリングを行う為には良い技法なのですが、この場合、マスターが自分の作ったストーリーに陶酔してしまう事が多い事や、ストーリーを優先させるあまりプレイヤーに「ゲーム性がない」と思わせてしまう事、あるいはプレイヤーの判断や葛藤が意味をなさなかったり、そもそも判断や葛藤というTRPGの醍醐味の部分がなくなってしまう為、「ストーリーが面白くない」・「ゲーム性がない」・「判断・葛藤がない」という、プレイヤー不在のセッションとなってしまう為、良くないと判断される事が多いのです。

 これは、逆に言えば「他人から見ても良いストーリーである」「ゲーム性を重視しつつ、ストーリー性を損なわない」「判断・葛藤があり、それが意味をなす」というポイントさえ守れれば、一本道シナリオでも全く問題がない、という事にもなります。

 では、「一本道シナリオ」の悪い点を回避し、良い「一本道シナリオ」にする為にはどんな事に注意すればいいかを考えてみましょう。

 第一に、ストーリーはあくまで「わかりやすく」する事です。

 どんでん返しは1回か2回が限界でしょうし、後で効いてくる「伏線」等は簡単な物を少しだけ仕込む程度にした方が良いでしょう。

 どんなに完全なストーリーでも、理解されなければ面白くないのです。

 第二に、ゲーム性という点では「判定」に成功した場合と失敗した場合の展開を別に用意する事です。

 別の展開でも、最終的に一つの方向に向かって行く、という形でシナリオを組めば、ストーリーを壊す事なくゲーム性を保つ事ができます。

 第三に、「判断・葛藤」に関しては、キャラクターにどんどんと情報を与え、判断と決断を行わせる事です。

 この場合、「選んで欲しい選択肢」がある場合(大抵はそうでしょう)、「選んで欲しい選択肢」の方が有利であると判断できる情報を多く与える事で、心理的に誘導する事ができます。

 また、この方法に第二の「収束法」を使うとより有効でしょう。

 そして、最後に一番重要な部分です。

 それは、「シナリオを作りすぎない事」です。

 一本道シナリオというのは、ある程度の方向性と、その為の指針をしっかりと作ってさえしまえば、それ以上は作る必要がないのです。

 作ってしまえばこだわってしまうのがマスターの心情ですから、どうしても「押し」「引き」を多用してしまい、結果としてプレイヤーの自由度を低くしてしまう事になってしまうのです。

 一本道シナリオでもそう思われないだけの自由度があり、プレイヤーにもバレない一本道シナリオ。

 そんな、魔法のような一本道シナリオを、貴方も作ってみませんか?

 色々なテクニックを使いますが、このテクニックは色々なところで役に立ちますし、こんなタイプのシナリオも面白い物ですよ。

この記事を書いた人 Wrote this article

如月翔也

 如月翔也です。TPGとアナログゲーム、PCが大好きな中年男です。このブログでTPGについて色々触れています。コメントを貰うと非常に喜ぶのでお気軽にコメントをお願いします。