052:キャラクターを「生かす」

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 さて、TRPGのプレイにおいて注意しなければならない事の1つに、「キャラクターを生かす」事があげられます。

 そもそも、TRPGに登場するプレイヤーキャラクターには色々な側面があります。

 PCというのは、職業(あるいはクラス)や能力値の様なデータな側面、生い立ちや冒険に出るまでの経緯と言った背景的な側面、性格や癖などの内面的な側面など、現実世界の人間と同じだけの重さを持った「人物」としての側面を持っているはずです。

 そして、それを十分に生かしつつ、それでいてゲームを壊さず、セッションを壊さない様に考えてキャラクター行動させる事が「キャラクターを生かす」という事なのです。

 TRPGによく見られる「あまり良くない遊び方」として、「キャラクターのデータ的な部分だけを重視して楽しむ(ゲーム偏重)」「キャラクターの背景設定とシナリオの流れだけを重視して楽しむ(ストーリー偏重)」「キャラクターに与えれらた役割だけを楽しむ(ロールプレイ偏重)」「キャラクターの性格だけを重視して楽しむ(キャラクター偏重)」と言う物があります。

 これが「あまり良くない」、あるいは「良くない」とされるのは、実はこのような遊び方ではキャラクターが生きていないからなのです。

 TRPGには「ゲーム性」「ストーリー性」「ロールプレイ性」「キャラクター性」と言ったファクターがあり、そのバランスを取りながら1つのセッションを完成させていく事が目標の1つでもあります。

 しかし、1つのファクターを偏重しすぎると、それはTRPGのセッションではなくなってしまうのです。

 そして、それと同時に、1つのファクターを偏重しすぎると、それは「生きた」キャラクターでもなくなってしまうのです。

 キャラクターというのは現実世界に息づく人々と同じだけの存在の重さを持った人間です。

 そして、「セッション」というのはその人間の1つの「人生の転機」、あるいは「人生における1つのトラブル」を表す物なのです。

 普通、現実世界に息づく人は、「転機」あるいは「トラブル」においては、色々と考えて行動しているはずです。

 それが貴方であれ、知らない誰かであれ、「転機」や「トラブル」にはこう考えて行動しているのではないでしょうか?

 「どうすればより良い結果を出せるだろうか?」

 「流れ的にはどうすれば上手くまとめられるだろうか?」

 「周りからはどうする事が求められているのだろうか?」

 「どうすればより自分らしいだろうか?」

 そう、同じ様に、本当の意味で生きているキャラクターも、そのように考えているはずですし、そうであるべきなのです。

 そうでなく、いつでも同じ判断基準で動いている人間というのは現実的ではありませんし、少なくとも「普通」に存在しているとは言えないでしょう。

 そして、「現実的」ではなく「普通」でもないキャラクターでは、プレイヤーは十分にTRPGを楽しむ事はできないのです。

 普通の人間が、何か重大な決断を下して行動する時は、少なからず葛藤に悩まされるものです。

 それと同じく、キャラクター達も色々な価値判断からの葛藤に悩まされるものなのです。

 おとぎ話の主人公のように葛藤しないキャラクターと、実に「人間らしく」葛藤するキャラクター、貴方だったらどっちがより身近に感じられますか……?

 身近に感じられる事、というのは、すなわち「よりその世界にのめり込める」という事です。

 どうでしょう、あなた方も、人間臭い葛藤するキャラクターをやってみませんか?

 きっと、今まで以上に貴方のキャラクターが「生きている」実感を味わう事ができると思いますよ……

この記事を書いた人 Wrote this article

如月翔也

 如月翔也です。TPGとアナログゲーム、PCが大好きな中年男です。このブログでTPGについて色々触れています。コメントを貰うと非常に喜ぶのでお気軽にコメントをお願いします。