075:カードを使うRPG

この記事は約 5 分で読めます

 TRPGで最もよく使われる乱数発生器(=ランダムに数字を作る物)といえば、まずはダイスがあげられるでしょう。

 ちょっと昔まではロールプレイングゲームの「Role(役割を演じる)」が「Roll(ダイスを振る)」と勘違いされる事が多かった位に、TRPGにはダイスが使われていました。

 その状況は最近でもあまり変わりはありませんが、最近では「カード(主にトランプ)を使って遊ぶTRPG」も増えてきています。

 そこで、今回はダイスを使うTRPGとカードを使うTRPGの根本的な違いと、それぞれの楽しみ方の違いを考えてみましょう!

 さて、まず最初に、ダイスとカードには大きな違いがあるのはお分かりでしょうか?

 ダイスというのは、工場でちゃんと作られた物であれば、それがイカサマ用のダイスではない限り、それを振った時にどの数字が出るかは完全に不規則です。

 例えば、D100ロールで「1」が5回連続で出る可能性も、非常に低くはありますが存在します。

 しかし、カードを使う場合、確かに手元にどのカードが来るかは予想し辛い物の、完全に不規則である訳ではないのです。

 例えば、トランプを使ったロールをする場合、途中で使ったカードを山札に戻して引き直さない限りは「A」のカードを5枚以上連続で使う事はできないのです。

 あるいは、隣のプレイヤーが「ハートのキング」を持っているのが明らかで、しかもそれが未だに使われていない場合、自分がそのカードを入手できる可能性は皆無なのです。

 大抵のカードを使うTRPGでは「数枚のカードを手元に置く」事ができますし、「カードを1枚使うたびに山札に戻してシャッフルする」という事はしませんから、ダイスを使って判定を行うタイプのRPGよりも、確率分布は異なるのです。

 そのかわり、カードを手元に置いて使うタイプのTRPGでは、ダイスを使って判定を行うタイプのRPGよりも結果を誘導しやすい事になります。

 ダイスを使用するTRPGでは「成功したいロール」でも「失敗してもいいロール」でも、結局は「目標値」どおりの確率分布でしかロールを行う事ができません。

 それに対して、カードを手元に置いて使うタイプのTRPGでは、「成功したいロール」で良いカードを使い、「失敗してもいいロール」で悪いカードを使う事で、キャラクターの行動の正否をある程度の範囲内でプレイヤーが決定できるという事になるのです。

 これは、ある意味でルール的にプレイヤーの(判定への)関与を認めているという事ですから、格好良く決めたい時に良いカードを使う等の方法で、キャラクターの表現の幅を広げているという事にもなります。

 「交渉が得意だが、戦闘はからっきし」という設定の盗賊は、ダイスで判定するシステムでは結局神(運)だのみで表現するしかありません。しかし、カードを使うタイプのシステムであれば、「交渉関係で良いカードを使い、戦闘では悪いカードを使う」という方法で表現する事ができるのです。

 また、カードを使うタイプのRPGでは、山札が減るたびに「出るであろうカード」の数が減っていく、という事ですし、捨て札を記憶しておく事で「あとはどんなカードが残っているのか」を知る事ができ、それによって「今後の判定についてのある程度の予測」が可能になります。

 そういった点では、「(ゲーム的に)戦略性が高まっている」という事にもなるのです。

 本来であれば「乱数」を用いるはずのTRPGですが、カードという「範囲の決まった乱数」を導入しているシステムも、なかなかに趣が深い物なんですね。

 ダイスに「成功しろッ!」と念を込めて振るのも楽しいですが、自分のカードをにらみつけて唸りながら判定するのも、また面白い物ですよ……?

この記事を書いた人 Wrote this article

如月翔也

 如月翔也です。TPGとアナログゲーム、PCが大好きな中年男です。このブログでTPGについて色々触れています。コメントを貰うと非常に喜ぶのでお気軽にコメントをお願いします。