今度はちょっと近代的な考え方をしてみましょう。
では、問題です。
「職業として冒険者をする場合、最も注意しなければならない事は何でしょうか?」
私は、(意外かもしれませんが)「リスクの管理」であると思います。
冒険者と言えば、良く言えば自由人、悪く言えばゴロツキの類にも関わらず、「リスクの管理」とはいかにも商売人っぽい考え方に思えるかも知れませんね。
しかし、自由人(あるいはゴロツキ)だからこそ、リスクの管理には慎重でなくてはならないのです。
通常、行動に対するリスク(危険度)に見合うだけのリターン(見返り)がなければ、その行動は起こすべきではありません。
この原則は、通常は金銭的なリスクとリターンで見られるものになります。
ですが、冒険者の場合、リスクとは実際に命の危険を指すものが大半となるはずです。
逆に、リターンに相当するのは金銭的な物や、冒険者が金銭以上に価値があると信奉している「何か」となります。
例えば、自分の主義主張を守る事や、誰かに感謝される事を金銭以上の価値と考える冒険者も多いでしょう。
そう考えると、冒険者は自分の命をチップにして信じる何かを求めて掛けに出るロマンチックなギャンブラーという見方もできるかも知れませんね。
しかし、冒険者がロマンチックなギャンブラーであったとしても、「リスクの管理」は怠る事ができません。
何せ、冒険者の求める物は生きていてこそ得る意味のある物ですし、冒険者稼業は下手に怪我などをすると待っているのは飢え死にという綱渡りの商売なのですから。
ですから、冒険者は常にリスクに敏感であるべきなのです。
金銭を代償に危険を犯すのであれば、犯す危険に見合うだけの金銭が報酬でなくてはなりません。
また、生き残る為には、リスクを正しく見積り、可能な限り自分に対処できるレベルの危険にしか立ち向かわず、手に負えないと判断した事からは早々に撤退すべきなのです。
そして、そこまで徹底してはじめて、「自分の命を賭けても良いだけの価値がある」事に対しては、命の危険など笑い飛ばすだけの剛胆さを発揮するのが真の意味の冒険者であり、英雄候補なのです。
無謀なだけの若者や、自分の命を賭けられない臆病者は、真の意味での「冒険」を果たす事はできませんし、決して英雄になる事はできません。
冷静な頭脳と、熱い魂。
この二つを併せ持つ物けが、真の意味での冒険者なのです。
さて、貴方のキャラクターは、真の意味での冒険者でしょうか……?