剣と魔法のファンタジーには、大抵は盗賊ギルドという大きな組織があり、盗賊ギルドでは一般人の知らないような情報が飛び交っています。
そして、その情報を得る為に、パーティの盗賊がギルドに情報料を支払って情報を買うというシーンはよく見られるシーンでしょう。
しかし、日本人の常識から考えると、「情報」に金を払うのは馬鹿らしい事であり、不自然な事と思われる事が多々あります。
この「常識」の違いは、どこから生まれてくるのでしょうか?
それは、ファンタジーの世界(あるいは欧米の世界)が、「情報の質は行動の質に直結する」という世界だからなのです。
日本を含む、昨今のIT事情を見ると分かる様に、1つの分野における「情報の量・質」の向上は、1つの分野を征するために必要不可欠な要素なのです。
そして、「質の高い情報」という物は、それを集め、確認を取る為に大きな労力を要する物であり、本質的に高い価値を持つ物なのです。
一般人が一般人から得る事のできる「無料の情報」というのは、基本的に不確実であり、それを取捨選択する事で「行動の参考」にはなる物の、「行動の指針」を作る為には力不足であり、かつ不確実です。
それに対し、冒険者が扱うのは金銭ではなく、己の命のリスクですから、彼らが求める情報というのは可能な限り確実な物であり、かつ大量の情報が必要となります。
こうして、命を懸けるに値するだけの「情報の質・量」を求める為には、結果的に「無料」ではすまない程の労力を要して収集する必要がある事になります。
そう、そのレベルは、現代の企業間の極秘プロジェクトを盗むのにも匹敵する程の困難となるはずなのです。
それを冒険者個人が行わないですむ様に、情報の収集と分析を行うのが「盗賊ギルド」の仕事の1つでもあります。
この情報の収集、及び分析は時にはギルド構成員の命を脅かす程の危険を秘めていますから、構成員への報酬や、ギルドの存続のために必要な経費などを含め、「情報料」を取らざるを得ないのです。
また、「情報料」というのは「情報の質」の1つのバロメーターともなります。
必要な「情報料」の高い情報ほど、その収集・分析にかかった手間は大きいと考えられますから、必然的に「信頼に足る」物となりますし、金額が高ければ高いほど情報を購入する人数も少なくなりますから、「情報の独占」をしやすくなります。
これは、「高額な情報ほど信頼に足り、有利さをもたらす」という商業の原則にも従った物であり、実にスマートなやり方といえるでしょう。
このように、情報というのは非常に大きな要素なのです。
うわさ話に終始せず、細かい情報の収集・分析をこなせる人物がいてこその「情報」であり、これをおざなりにすれば、待っているのは重大な「裏切り」か「失敗」でしょう。
これを考えると、「高い情報はいらない」どころか、逆に「高い情報ほど必要である」という事になりますね。
情報を買うお金を出し惜しみして、いらぬ危険に身を投じるような真似はしないようにしたいですね……