さて、TRPGの定番ジャンルと言えば、やはり「Fantasy(ファンタジー)」でしょう。
しかし、このファンタジーという言葉、あるいはジャンルは非常に曖昧な物なんですね。
そこで、今回はファンタジーについて、ちょっと詳しく考えてみましょう。
最初に、Fantasyという言葉についてですが、これを直訳すると「空想」となります。
つまり、辞書的な意味でいうファンタジーというのは、「人の頭の中で想像される物」という訳で、ちょっとしたフィクションのある物や、常人では到達できないレベルのノンフィクションなど、常人が「空想」するしかない様な物、全てをファンタジーと言う訳です。
しかし、文学という枠の中では、ファンタジーは「話の展開の中に超自然の要素を含むもの」という形で定義されます。
これにより、ホラーはともかく、SFやサイバーパンク、現代物はファンタジーではない、という事になります。
これを見て分かる通り、TRPGでいう「ファンタジー」は、辞書的な意味ではなく、文学的な分類で言う所のファンタジーというジャンルである、という事なんですね。
そうでないと、「ホラー」「ファンタジー」「現代物」とジャンルを分けた意味がなくなってしまいますから。
さて、それでは文学のジャンルとしてのファンタジーに目を向けてみましょう。
文学のジャンルにおけるファンタジーのジャンルとしては、エブリデイ・マジックとエピック・ファンタジーの2つの種類に分かれます。
エブリデイ・マジックというのは、普通の世界と不思議な世界の接点を描いたファンタジーです。
「普通の世界に現れた不思議な存在」の話や、逆に「不思議な世界に足を踏み入れてしまった普通の人」の話などが、エブリデイ・マジックとして色々書かれています。
エピック・ファンタジーというのはエブリデイ・マジックとは対照的に、「世界も人も不思議な世界」を描いたファンタジーです。
エピックというのは「叙事詩的な」という意味で、エピック・ファンタジーとは「叙事詩的ファンタジー」という意味です。
古代の叙事詩「ギルガメシュ」「イーリアス」「オデュッセイア」等を見ても分かるように、基本的には民族的な戦いや民族的な英雄について書かれた物を基本としており、ここから「ヒロイック・ファンタジー」等が派生しています。
さて、ざっと概略を説明しましたが、ファンタジーという物は遙か昔から人間の想像力をかき立ててやまなかった物らしく、その歴史は遙か昔までさかのぼる事ができます。
私たちがファンタジーTRPGをしている時に思い浮かべているような情景を、遙か昔の人も思い浮かべていたかも知れない、などと考えると、ちょっと感動的かも知れませんね……