2009年 2nd page

019:ウィザード

ウィザードというと、ファンタジーTRPGで出てくる魔法使い系のクラスの名前ですね。 ところで、みなさんはご存じでしょうか? このウィザードですが、もともと「賢い」という英単語(Wise:ワイズ)から発展した物です。 つまり、ウィザードにはそもそも「賢い」という意味合いがあるのです。 それでは、「賢い」魔法使いであるウィザードとは、どんな人なのでしょうか? これは、色々な小説作品などでその姿をみる事ができます。 例えば、J.R.R.トールキンの指輪物語に出てくる偉大な魔法使いガンダルフ。 あるいは、アーシュラ・K・ル・グゥィンのゲド戦記の主人公ゲド。 彼らは幻想文学の中では「偉……

018:ファンタジー世界での冒険者

今回は、「幻想世界」でのリアリティを題材にしてみましょう。 「一般的なファンタジー」と呼ばれる世界での、冒険者の立場について、ちょっと考えてみましょう。 「一般的なファンタジー世界」とは、大体において「中世ヨーロッパの格好良い部分だけ複合した世界」と考えて差し支えありません。 逆に、「格好良い部分」でない部分については、ある程度史実に従うべきでしょう。 そう考えると、ファンタジー世界の住人のほぼ9割以上が第一次生産者、及び第二次生産者です。 つまり、食料や材木などを「作る」人々と、そこから加工して物を「作り出す」人々です。 「冒険者」というのは、明らかに「生産的」な仕事ではありま……

017:「戦う者」のリアリティ

今度は「現実的」な話を少ししてみましょう。 「戦う者」についてのリアリティを考えてみましょう。 どんな世界であれ、「戦う」という事には重大な決断を伴います。 本当に、命を懸けて闘うのであれば、少なくとも闘った後には負傷者が出るはずですし、多くは死者を出してしまうでしょう。 もし、自分が相手よりも弱い事が明確であれば、死にに行くようなものですから、「戦う」という事は愚かな選択でしょう。 逆に、自分が相手よりも強い事が明確であっても、戦いに不測の事態は付き物です。 闘うのであれば、下手をすれば自分が死んでしまうでしょうし、それでなくても多少の怪我を負う事になるでしょう。そうすれば、次……

016:どちらのリアリティをとりますか?

TRPGは演技を楽しむ遊びです。 そして、「異世界」のリアリティを楽しむ遊びでもあります。 例えば、ファンタジーRPGを楽しむ人は、現実世界にはない、剣と魔法の冒険活劇や、高度な魔法の織りなすハイファンタジーを楽しみます。 さて、ここで一つの問題があります。 貴方はTRPGをする時に、「現実世界のリアリティ」と「異世界のリアリティ」の、どちらを優先するでしょうか? 例をあげると、ファンタジーTRPGの「騎士」の行動の規範などがあります。 イメージで言うPCの「騎士」は、「騎士道」に則った、「公明正大」「弱者の味方」「正義の味方」等というイメージがあります。 しかし、現実の歴史で……

015:プレロールドはいかがですか?

みなさんは「プレロールドキャラクター」という方法をご存じでしょうか? TRPGでは通常、自分で自分のキャラクターを作成するのですが、プレロールドキャラクターという方法では、ルールブックに掲載されているキャラクターや、ゲームマスターが事前に作成しておいたキャラクターの中から自分のキャラクターを選んで決定する、という方法です。 これは、シャドウランや天羅万象などのTRPGで使われている「アーキタイプ」という方法や、原作物のTRPGなども含む、ちょっと面白いゲームの楽しみ方なのです。 普通、TRPGでは自分の作ったキャラクターを、自分の作った設定に従って演技します。 しかし、プレロールドキ……

014:最近のTRPGの傾向

※このコラムは「TRPGの変遷(第1世代)」「TRPGの変遷(第2世代)」「TRPGの変遷(第3世代)」の続編です。 TRPGの変遷の歴史をざっと振り返った所で、今度はTRPGの最近の傾向について考えてみる事にしましょう。 最近は「第1世代型」と呼ばれる「戦闘と成長」のTRPGはなりをひそめ、代わりに「世界」を重視する「第2世代型」TRPGと、「キャラクター」を重視する「第3世代型」TRPGがTRPGの代表格になっています。 更に最近では、その「第2世代」と「第3世代」を合体させた上で「キャラクターの演技」にウェイトを置いた「演技重視」TRPGがなかなかの好評を博しているようです。 こ……

013:TRPGの変遷(第3世代)

※このコラムは「TRPGの変遷(第1世代)」「TRPGの変遷(第2世代)」の続編です。 こうして「異世界」全体を表現するに至ったTRPGですが、プレイヤーはまだ満足しませんでした。 「独特の世界」、「独自の歴史」そして「特徴的な街」、更に「個性的なNPC」が揃った所で、プレイヤー達は今度は自分のキャラクターも「個性的」である事を望んだのです。 これは全く当然の成り行きでもあります。 「現実世界」であろうが「異世界」であろうが、人間というものは画一化された存在である訳がないのですから。 また、「個性的なキャラクター」を、ゲームマスターの専売特許にしてしまう程、プレイヤー達はおとなしくは……

012:TRPGの変遷(第2世代)

※このコラムは「TRPGの変遷(第1世代)」の続編です。 こうして新しい遊びとして発表されたTRPGは、様々な人によって遊ばれました。 そして、その中で、「迷宮だけではなく、街でも遊びたい!」という意見や、「この世界って、どういう世界なのだろう」という疑問が持ち上がってきました。 そう、TRPGは自由に遊べる遊びであるからこそ、もっと様々な事をして遊びたいというプレイヤーの想いを強めてしまったのです。 TRPGの舞台は、今までは冒険の出発点・迷宮に行く前のスタート地点でしかなかった「街」や「村」を含む、世界全体へと広がっていったのです。 そして、ただ「普通」であった「街」にも様々な特……

011:TRPGの変遷(第1世代)

さて、最近はちょっと問題提起が多かった様ですので、今度はまっとうなコラムに挑戦してみましょう。 私たちが楽しんでいる「TRPG」、これは初代D&Dが発売されてから様々な人に遊ばれ、その遊び方も変化して行きました。 それに従ったのか、それとも時代をリードしていったのか、TRPGのルールも初代D&Dのルールに比べると、色々な形に変化をしています。 では、TRPGはどのような変化を遂げて来たのかを、ちょっと振り返ってみましょう。 TRPGの元祖と言えばD&Dです。 そのD&Dをはじめとする初期のTRPGは、簡単にまとめてしまうと「迷宮と戦闘のゲーム……

010:TRPGを「勉強」してませんか?

曰く、「TRPGは面白い」。曰く、「TRPGは最高の遊びだ」。 私も、そう思います。最高の仲間と最高のセッションを行う事ができた後などは、心底「TRPGは最高に面白い遊びだなぁ」と思います。 確かにTRPGは面白いです。ハマればハマるほど面白いですから、一度ハマるとどんどんとハマって行きます。 そして、仲間内がその意識で固まってしまうと、次はみんなでTRPGの研究や勉強を始めてしまう事もよくある話なのではないでしょうか。 例えば、先だってのコラムで取り上げた「セッションについての雑談」が、「ゲームマスターの良かった所/悪かった所」、「プレイヤーの良かった所/悪かった所」という話で固定……

009:セッション後には何をしますか?

みなさんは、TRPGのセッションを楽しんだ後、何をしていますか? 私は、時間が許すのであれば、みんなでセッションについての話をします。 TRPGでセッションをした後で、今回のセッションの内容について、話し合うのも楽しい時間ですね。 自分のキャラクターが格好良く行動できた所、他のプレイヤーの見せ場シーンについて、ゲームマスターの作ったシナリオの面白かった所。 こんな話をしていると、下手をするとセッション以上に時間がかかってしまう事もあるのではないでしょうか。 セッション後の興奮を引きずったまま、思いついた事をただ話しているだけの時間なのですが、実はこれはゲームマスター・プレイヤー共に……

008:こんなプレイヤーも困りますよね?

ゲームマスターの話が出たので、今度はプレイヤーの話をしましょうか。 TRPGの主役にして物語をよりエキサイティングにする役目を持つ人、プレイヤー。 ゲームマスターの頭の中でどんな素敵なシナリオを作っても、プレイヤーを相手にセッションをしないと、決してTRPGにはなりません。 人の性格は千差万別であるように、プレイヤーのスタイルも千差万別であるのは言うまでもありません。 千差万別のプレイヤーがいるからこそ、TRPGは「1人では決して作る事のできない物語」を紡ぎ出す事ができるのです。 でも、やっぱりゲームマスターをしていると「これは困ったなぁ……」というプレイヤーにも出くわしてしまう事……

007:こんなマスターって困りますよね?

TRPGの進行役にして判定役、そしてシナリオを提供してくれる神のような存在、それがゲームマスターです。 色々な人とTRPGを楽しんでいると、色々なタイプのゲームマスターに出会います。 ゲームマスターによって、同じゲームでもルールの解釈が違ったり、世界観が微妙に違ったりする事も多いのですが、これもTRPGの楽しみの一つですよね。 しかし、「これはちょっと……」というゲームマスターに出会ってしまう事もあります。 例えば、シナリオは美しいけれど、PCが全然関与できず、NPC(GMかな?)の一人芝居になってしまう一人演技マスター。 ルールのカスタマイズにのめり込みすぎて、全然違うルールにな……

006:ゲームマスターって難しいですか?

TRPGを楽しむ人というのは、大雑把に分けると2つのタイプがあります。 「プレイヤーを楽しむ人」と「ゲームマスターを楽しむ人」の2種類です。 (この分け方だと「プレイヤーもゲームマスターも楽しむ人」もいるはずですが、今回は省略します) そして、「プレイヤーを楽しむ人」に「ゲームマスターをやってみたいと思わない?」と尋ねてみると、意外に多くの人が「ゲームマスターって難しそうだし」と答える事に気づきます。 ゲームマスターって、難しいんでしょうか?楽しくないんでしょうか? 私はどちらも「否」だと思います。 たかがゲームで、難しくて楽しくない役目を引き受ける人間なんている訳がありません。 ……

005:プレイヤー同士で喧嘩をしていませんか?

TRPGはキャラクター演技のゲームです。 様々に設定されたキャラクター達が一緒に行動している以上、利害が一致しない場合や意見の相違から対立状態になってしまう事も、ままあります。 TRPGは「みんなで楽しむ」為の遊びですから、対立状態というのはあまり望ましい物ではありません……と、言う訳でもないんですね、実は。 キャラクター同士がお互いの意見をぶつけ合い、その中で「よりベター」な意見を作って行く、というのも物語では重要とされる場面ですし、これをプレイの中で再現する事ができれば、それは非常に楽しいセッションである言えるでしょう。 ですから、パーティ内での意見の対立はあっても良いのです。 ……

004:ハック&スラッシュは駄目ですか?

TRPGにはハック&スラッシュというプレイスタイルがあります。 ハックスラッシュとは、古典的TRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の頃から確立されているプレイスタイルの一つで、「迷宮に侵入し、モンスターと戦い、宝物を稼いで迷宮から帰還する」というスタイルです。 これは初期のTRPG作品のシナリオではある意味で当然のプレイスタイルでしたが、TRPGが進化し、演技や設定が重要視されるようになってからは、あまり歓迎されない古いスタイルになってしまいました。 それどころか、最近の風潮では戦闘を「TRPGの華」と捉え、戦闘時に綿密な計画と確率分析、「有利さを求めた戦闘オプション」を駆使して戦闘を……

003:みんなが楽しんでますか?

今度は、プレイヤーについて考えてみましょう。 TRPGはプレイヤーがいなくては始まりません。 ゲームマスターが用意したシナリオを、一つの物語として完成させるのは、他でもないプレイヤーなのです。 プレイヤーには色々なタイプがいます。 例えば、シナリオを引っ張るアクティブなプレイヤー、冷静に「流れ」を把握して上手く行動するプレイヤー、演技の上手いプレイヤー、ただ話を聞いているプレイヤー、ゲームに参加しないプレイヤー等々……色々いますよね。 その色々いるプレイヤーですが、これだけは認められないプレイヤーというのが存在します。 それは、「みんなが楽しむ」事を阻害するプレイヤーです。 確……

002:そのゲームは演技を必要としますか?

今度はゲームシステムについてのお話です。 TRPGは「演技を楽しむゲーム」です。 (ここで言う「演技」とは「なったつもりで」という類の物を指します) しかし、ゲームシステムによっては「キャラクターの台詞をキャラクターらしく発言する」事が求められる物も少なくありません。 (ここでは「成り切る」と表現しましょう) 私自身は「演技過剰」かつ「いつでもキャラクターの台詞をキャラクターらしく発言する」傾向の強いプレイヤーですが、実は私個人はこのようなタイプのプレイスタイルを求めるゲームはあまり好きではありません。 淡々とした説明口調で「キャラクターらしい言動」を宣言する事も、またTRPGにおけ……

001:育ちすぎた冒険者

いきなりハードな話題かも知れませんが……キャンペーンなどをすると、キャラクター達は加速度的に強くなっていきます。 キャンペーン序盤ではまだまだヒヨッコであったキャラクター達も、キャンペーン終盤に至っては世界を救う勇者になっている事でしょう。 こうなると、TRPGは凄く面白くなります。 キャラクター達は最強のドラゴンすらも薙ぎ倒し、世界の危機を何度でも救うでしょう。 しかし何事にも終わりはやってきます。 世界で最も恐ろしいモンスター(例えばドラゴン)を易々と葬るキャラクター達は、すでに「世界の脅威」になってしまっているのです。 ですから、育ちすぎた冒険者は引退しなければなりません。……